噛み合わせが歯の寿命を左右する
歯周病は、免疫力低下やプラーク以外の原因から起こることもあります。
それは、噛み合わせの不調(不正岐合)という物理的圧力によるものです。
噛む力によって歯にかかる重さは、前歯では15kg、犬歯は30kg、小臼歯は40〜50kg、大臼歯は60〜65kgといわれています。
歯というほんの小さな部位でこれだけの重量を受け止めることができるのには、「歯根膜」という歯と歯槽骨の間にある組織に、その秘密があります。
歯根膜は、線維組織からなる歯のクッションのようなものです。
ここで噛む衝撃をいったん吸収して歯や歯槽骨に与える影響をやわらげています。
歯根膜のおかげで、私たちは食べ物を食べるとき、さまざまな噛みごたえや食感を楽しむこともできるのです。
岐合が正しければ、歯や歯根膜には均等にバランスよく負荷がかかります。
ところが、歯の欠損や片側噛みなどで咬合の不正が生じると、負荷のバランスがくずれ、過剰に負担を強いられる歯が出てきます。
歯根膜に過度の圧力がかかると、しだいに歯根膜が破壊されていきます。
これを「咬合性外傷」といいます。
歯根膜が破壊されると、歯肉全体が下がってきます。
それとともに歯周ポケットが形成されて、歯はグラグラになります。そして、咬合性外傷を起こした歯は、歯周病にかかりやすくなってしまうのです。
つまり、歯周病の発生パターンは、二通りあります。
一つはプラークがたまることで、歯周病菌に感染・炎症を起こして歯根膜が破壊されていくパターン。
もう一つは、岐合の不正による過度の圧迫によって歯根膜が破壊されていくパターンです。
いくらせっせと歯磨きに励んでも、噛み合わせが悪ければ元も子もありません。
そこから歯周病を発症してしまうからです。
また、もともと岐合には問題がなくても、歯周病で歯を支えている歯槽骨が失われることで噛み合わせが悪くなり、咬合性外傷を起こすこともあります(二次性咬合性外傷)。
歯周病は、歯を支えている歯周組織全体が破壊される病気です。
このため、歯周病が進むと歯周組織、とくに歯槽骨が減少することで、もともと歯と歯根の境目にあった支点が歯根方向に下がります。
つまり、根っこ部分が小さく、歯が大きいという頭でっかちの不安定なバランスになります。
そうなるとテコの原理で、わずかな力でも歯全体が大きく揺さぶられてしまいます。
さらに、炎症があると歯肉が腫れあがるため、歯が少し浮く現象を起こします。
このため、上下の歯で噛む瞬間にその浮き上がった歯が最初に当たり、全体が噛み合うときには、その歯は外側や前へ押し出されるかたちになります。
歯周病による咬合性外傷を起こした歯は、菌による炎症と外傷による炎症のダブルパンチ。
さらに、加速度的に歯周病が進行しやすくなる悪循環におちいります。
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