歯を削らずに噛み合わせを治す
一般的な噛み合わせの治療にあたっては、顎関節の不調や全身のバランス、歯ぎしりやストレスの有無など、口腔内にかぎらず全身的な診断が必要です。
歯周病によって外傷が引き起こされる二次性咬合性外傷は、一般の歯周病治療と同じように、歯周組織の炎症をとりのぞくことから始めます。
炎症がある状態で歯を削って岐合を調整しても、歯はまた元に戻ってしまうためです。
まず、歯を安定させるためにワイヤーや接着剤を使って「暫間固定」したうえで、歯周病の治療から始めます。
噛み合わせの調整は、過度に接触している部分を削る「調整」がメインとなります。
歯根膜の損傷が激しければ、抜歯という場合もあります。
ここで気をつけてほしいのは、安易に歯を削りすぎない、ということです。
当然ながら、歯は一度削ったら元には戻りません。
なかには、歯並びが悪くても岐合に支障がない人がいるように、人間には元来、環境にうまく適応してからだを合わせていく能力が備わっています。
歯の動きを調整するパテを貼ったり、スプリント(マウスピース)を入れることで十分に対応できる場合も少なくありません。
咬合と歯周病にくわしい歯科医とよく相談したうえで、慎重に治療を進める必要があります。
歯科医は岐合性外傷を診断する際、デンタル・レントゲンという小さなフィルムを使って部分的に撮影します。
咬合性外傷のレントゲン所見では、歯を取り囲んでいる歯根膜に該当する部分が正常より拡がっています。
これは噛み合わせの外傷力で、歯根膜が押し拡げられていることを意味しています。
歯槽骨が歯根の高さで維持されていれば、岐合調整の治療でほぼ完治します。
ところが、歯槽骨の破壊が進みすぎている場合は、抜歯せざるをえないこともあります。
歯根の形態も、予後に大きく影響します。
歯根の数は歯の種類によって異なります。
前歯や小臼歯のようにもともと歯根が1本、あるいは2本しかない歯もありますし、大臼歯のように根が3本ある歯もあります。
また、人によっては3本あるはずのところに1本しかない人もいて、根の太さにも個人差があります。
歯根が1本で先細りの形状の場合は、外傷力に抵抗しがたく、予後が不安定です。
逆に、歯根が太く大きい、あるいは複数の根をもっているような場合は歯の安定性が高いので、治療効果が期待できます。
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