アゴ関節の重要性と複雑な動き
アゴ関節と噛み合わせは密接に関係します。
それでは、不正な噛み合わせが原因で、ここ十年ほどで子供の間にも急増しているアゴ関節症について、見ていくことにします。
まず、アゴ関節について簡単にその構造と働きを説明しましょう。
骨格から見ると、アゴ関節は下アゴの骨と上アゴの骨(と側頭骨)が組み合わさっています。
そして、関節のところには、下アゴの骨がスムースに動くように、関節円板というものがはさまっています。
この関節円板には、骨があたるときの衝撃吸収と、アゴの複雑な動きを調整する働きがあります。
この上下のアゴの骨は、頭部の骨(頬骨や側頭骨など小さな骨がたくさん組み合わさってできています)や頸椎という身体のなかでもとくに重要な部分とつながっています。
このアゴの関節は、身体のほかの関節がもっている回転という動きのほかに、滑走という動きと組み合わせて運動します。
例えば、ひじ関節なら、腕を伸ばしたり曲げたりする回転の動きだけです。
一方、アゴの関節は、口を開けたり閉じたりの動きだけでなく、前に突き出したり後ろに引っ込めたり、また噛むための微妙な横の動きなどもすることができます。
話すときのいろんな発音をするための複雑な動きができるのも、回転という動きに滑走という動きが組み合わされているからです。
イメージとしては、関節部位に「遊び」があり、その「遊び」の部分を微妙に滑らせながら回転運動をすると思ってもらえばわかりやすいかもしれません。
そして、その関節を動かす筋肉は嘆筋をはじめ多くの筋肉が働いています。
顔や頭部ではさまざまな表情をつくるために口のまわりや眼のまわり、側頭部や首の筋肉などがお互いに関連して動いています。
このことがよくわかるには、実際に顔や側頭部を触りながら口をいろんな具合に動かしてみれば確かめられます。
アゴ関節が動くことによって、多くの筋肉が働いていることがわかるでしょう。
こうした、関節部の構造がアゴ関節の複雑な動きを可能にするのです。
さて、アゴ関節の仕組みがわかったところで、噛み合わせの不正によって起こされるアゴ関節症にお話を戻しましょう。
アゴ関節症は、説明したようにとても微妙で複雑な動きをするアゴ関節に起こる症状です。
アゴ関節は、生まれてすぐの赤ちゃんのころから一生動き続けています。
また、食べ物を食べたり、話をしたりするために毎日何百回何千回という頻度で、複雑でしかも大きな力がかかる動きをしています。
そのために、非常に丈夫にできており、多少のズレは自然と調整できるようになっています。
しかし、奥歯による持ち上がりによって不正な噛み合わせが起こると、この丈夫で複雑なアゴ関節もズレに耐えられなくなります。
噛むためにアゴ関節は三級のてこを使い、作用点で大きな力が働くようになっています。
持ち上がりによって、不正な噛み合わせが起こると、その大きな力がアゴ関節にズレとしてそのままかかってきてしまうのです。
おまけに、ふつうの生活をしているだけでも、炎症を起こした関節に、噛む動作や話す動作によって不正な力がかかり続けるために、ズレはどんどん大きくなってしまうのです。-----
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