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従来のときの歯磨き法では歯は守れない
歯の二大疾患といえば、歯周病と虫歯です。
どちらも菌による感染症で、その直接の元凶となるのは、歯垢(プラーク)です。
日々の生活の中で、プラークをきちんと取り去る方法は、歯磨きしかありません。
歯磨きは、自分でできる歯の病気予防の最重要項目となります。
日本人は先進諸国の中でも、1日の平均回数2回と比較的、きちんと歯磨きをしています。
平成17年の厚生労働省の調査では、96.2%が最低1日1回は歯磨きをしています。
ちゃんと歯磨きをしていたのに、虫歯や歯周病になってしまった!
こんな経験をお持ちの方も多いと思います。
きちんと磨いているのに、虫歯や歯周病にかかる人が多いのは、なぜでしょう?
その原因の一つに「間違った歯磨き法」があります。
いくら毎日、歯磨きをしたところで、その磨き方や歯ブラシの選び方から間違っていれば、結果はついてきません。
実際、多くの人は「自分の歯に合った」歯磨きができていないというのが現状なのです。
それでは、正しい歯磨き法とは一体、どんな方法でしょうか。
それをきちんと答えられる人は多くありません。
多くの人が、子どものときに学校で習った歯磨き法と、大人になってから知った歯磨き法がちがっていたり、歯科医ごとにすすめる歯磨き法がちがうことに混乱を起こしているのが現状ではないでしょうか。
じつは、歯磨き法はさまざまあり、正しいとされる歯磨き法も時代によって変遷しています。
歯科の専門家でも、人によって見解が異なることがあります。
実際のところ、絶対的に正しい歯磨き法などありません。
一ついえるのは、子どものときに習った歯磨き法だけでは、歯は一生は守れないということです。
本来、歯磨き法は、年齢や歯の状況に合わせて少しずつ変えていかなければならないのです。
つまり、正しい歯磨き法は、あなたの歯の状態いかんによって決まります。
歯磨きは、いわば歯のお掃除です。
掃き掃除をするときを想像してみてください。
平らな地面はブラシでサッと掃くだけでゴミが払えますが、ところどころに溝がある地面はブラシで表面をなぞるだけでは、溝のゴミはとれず、ますます奥深くに入っていきます。
歯も同様で、歯肉が若々しくバリがあって歯間が浅い場合は、ただ歯ブラシを横に動かして磨くだけでも、かなり歯垢がとれます。
ところが、齢をとるにつれ、歯肉がやせて歯間が深くなると、歯ブラシの使い方を工夫しないと隙間に磨き残しができます。
また、歯肉が弱くなれば、力も加減してやらなければなりません。
無理な歯磨きで傷ついた歯肉は傷が治っても、そのぶんやせてしまいます。
歯肉は一度後退すると、元に戻らないデリケートな組織です。
カテゴリー:歯の知識
歯の役割
歯周病や噛み合わせの影響はわかってきましたが、肝心の歯について「歯ってなんだろう」とあらためて思った読者も少なくないのではないでしょうか。
歯周病は、歯のもつ構造とたいへん深い関係にあります。
ここでは、歯の構造について話をしておきましょう。
歯は三層構造です。
歯の中心には「歯髄」と呼ばれる神経線経や血液などが入った細い管が入り込んでいます。
虫歯が進行すると強烈な痛みを生ずるのは、この歯髄が侵されたからです。
歯髄は、「象牙質」という、比較的やわらかい組織でおおわれています。
この象牙質はDentinと呼ばれ、歯科Dentalの語源になっているほど歯の本質的な部分です。
象牙質にも、象牙細管という管があって、その内部には細い神経線経が通っています。
だからこそ、虫歯やちょっとした刺激を敏感に察知することができるのです。
象牙質は歯髄から栄養をもらい、樹木のように育まれていますが、虫歯が進行して歯髄が侵されると、歯医者さんは歯髄をとって、そこに樹脂を詰めます。
歯髄から栄養が届かなくなった象牙質は、枯れ木のようにスカスカになってしまいます。このとき、問題となるのは、いちばん外側をおおう層です。
歯の表面は、外にさらされている部分は「エナメル質」、そして歯肉の中に埋まっている部分は「セメント質」といわれます。
歯冠部と歯根部とで呼び分けているのは、エナメル質とセメント質がまったく異なる組織だからです。
エナメル質は97%がハイドロキシアパタイトという無機質でできていて、人間のからだで表面に出ている組織としてはもっとも硬いものです。
セメント質は40〜50%が無機質で、有機質も多く、エナメル質と比べると、はるかにやわらかい組織です(ちなみに、象牙質は70%が無機質です)。
このセメント質が、私たちがおいしくものを食べること、あるいは噛む感触を楽しむ仕掛けをつくり出しています。
セメント質は、歯槽骨とじかに接しています。
歯冠寄りのセメント質には、歯根膜の一部であるシャーピー線経という堅固で太い線経がセメント質に入り込み、歯槽骨とセメント質をがっちりと連結しています。
歯根側にいくにしたがってシャーピー線経の数は少なくなっています。
なぜ、このような構造になっているのでしょう。
おそらく噛むことによるプレッシャーを入り口でしっかり押さえ、歯全体におよばないような仕掛けにしているからだと考えられます。
歯周病によって歯槽骨が吸収されはじめると、この堅固な仕掛けも破壊され、かつ歯を支える支点が下がるという二重のリスクを負うことになります。
また、歯周病で骨が吸収されると、歯肉が下がってきます。
つまり、やわらかいセメント質が外に露出してしまうので、この部分は歯磨きなどで磨り減りやすく、それによって知覚過敏を起こしやすくなるのです。
さて、もう一つ、歯の「歯根」についてもふれておきましょう。
歯根は、形や数が歯によって異なります。
歯は歯列といって連続して生え、その並んだ形はほぼ馬蹄形をしています。
前歯は、医学用語で 「門歯」というように、お口の入り口に見える歯です。
コマーシャルで謳われた「歯は命」というフレーズが指すのは
「白くてさわやかな美しい歯並び」のことで、この前歯にあたります。
そのはじにある、ひときわ大きくしっかりした歯が犬歯。
これは肉食獣の名残りです。
あごが小さいために飛び出てみえる犬歯は、日本では「八重歯」といわれ、愛橋の一つですが、欧米では文化のちがいからか、「ドラキュラの歯」とたいへん嫌われます。
犬歯は、肉などを噛み切るときにしっかり食い込んで離れないよう、歯根も長く丈夫です。
歯根は1本。切断がおもな目的ですから、おそらく1本の歯根で事足りたのでしょう。
奥歯では、前から数えて4本目と5本目の歯が小臼歯といわれ、小さく平べったい形をしています。
この歯は噛み切る目的と、臼のようにすったり砕いたりと多様な役割があります。
歯根は通常、下の歯で1本、上の歯で1本ないし2本で個人差があります。
ちょうど馬蹄形の曲がり口にあり、支えている骨が薄いため、歯周病になると噛み合わせで障害を受けやすいのが、この小臼歯です。
さらに奥にあるのは大臼歯。
噛み合わせにおいて大きな役割をもっています。
また、阻喩のかなめでもあり、大きな臼のように食べ物をすりあわせたり、砕いたりしています。
大臼歯は上下とも、しっかりとした頑丈な歯根が3本あるはずです。
「あるはず」と述べたのは、じつは現代人は、大白歯の歯根の数が少なくなる傾向にあるからです。
その傾向は第二大臼歯に顕著です。
1本しか歯根がない場合は、高い確率で咬合性外傷を起こしやすくなります。
いちばん奥の第三大臼歯は、いわゆる親知らずといわれる歯ですが、日本人の多くは、まともにまっすぐに生えてくることが少なくなりました。
たいていが横倒しで、智歯周囲炎というやっかいな病気になりやすく、場合によっては抜かざるをえないこともあります。
やはり、現代の日本人は食生活の影響であごが小さくなったからなのでしょう。
カテゴリー:歯の知識
歯と歯周組織
歯と歯周組織について説明しておきましょう。
歯は、乳歯で20本、永久歯は32本あり、これは親知らずを含めた数です。
しかし、最近は親知らずが減って、永久歯が30本や28本という人も増えています。
食べ物が日に入ると、歯でかみ砕きますが、ものをかむ瞬間、歯には自分の体重とほぼ同じくらいの荷重がかかります。
歯はこの負担に耐えることができる構造になっており、歯肉組織がこれを支えます。
歯の見えている部分を歯冠、下の見えない部分は歯根、支えている骨を歯槽骨といいます。
歯冠の外側はエナメル質でおおわれており、水晶ぐらいの硬度があるといわれています。
一方、歯根はセメント質でおおわれています。
骨と同じ構造ですが、含まれるカルシウム分は少なめで、エナメル質ほどの硬さはありませんが歯を支えるために大切な役目を持っています。
エナメル質、セメント質の内側にあるのが象牙質です。
エナメル質よりやわらかく、虫歯になると侵食され破壊されるところです。
象牙質の内側は、歯髄という空洞になっていて、この中を血管と神経が通っています。
三叉神経と呼ばれるこの神経は、脳への伝達神経です。
歯肉の粘膜は防衛機能
歯肉は、いわゆる歯茎と呼ばれる部分で、歯が生えている歯槽骨をおおい、歯のまわりをとり囲んでいます。
歯肉の役割は重要です。
歯を支えているだけではなく、歯肉の粘膜は細菌や毒素が体内に侵質よりやらかく、虫歯になると入するのを防ぐ働きもあるのです。
歯肉にはたくさんの毛細血管が通っており、その白血球や免疫物質が細菌の増殖を抑えるなどの防御システムを支えています。
ただし、細菌が過剰に増殖すると、豊富な毛細血管から細菌や毒素が侵入し、全身の病気を引き起こす場合もあるのです。
次に、歯槽骨は、歯根があごの骨の中に入っている部分で、歯のないところには存在しません。
そのため、歯が抜けたあと、骨はやせてきてしまいます。
歯槽骨が極端にやせてしまうと、義歯を入れても安定して支えることができなくなってしまいます。
歯と歯槽骨をつないでいるのがしこんまく歯根膜で、歯根のセメント質と歯槽骨と直接つながっています。
歯根膜は晴乳類にしかない組織で、大切な役割を持っています。
歯根膜にあるレセプターにより、かんだときの刺激が脳に伝わるのです。
たとえば、あさりを食べていて、砂をかんだとき、ジャリッと感じるのも、歯根膜にあるレセプターの働きによるものです。
しかし、歯が失われると歯根膜もなくなってしまいます。
当然、歯が全部なくなると、何をかんでもその刺激は脳へ届きにくくなります。
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歯肉炎から歯周炎
歯周病とは、歯を支えている歯肉や骨に障害の起きる病気のことで、このうち、歯肉に限った炎症を歯肉炎、骨を含めた歯周組織にまで炎症が広がったものを歯周炎といいます。
歯と歯肉の間には歯周ポケットという齢があり、健康な場合で、約1〜2mm程度の深さです。
ここは歯周病菌が好んで住み着く場所で、歯周ポケットのどこに増殖するかで、菌の種類も異なります。
歯肉炎の原因菌のグラム陽性菌は、歯肉と歯の接したところより上のほうにたまったプラークや歯石に住み着きます。
歯肉炎になると歯肉が赤くはれ、唾液中に細菌が定着して増えるため口の中がネバネバしてきます。
正面から口の中を見ると、歯と歯の間の歯肉は三角の形をしていますが、ここが赤く丸く盛り上がってきます。
歯を磨いたときに、出血することもあるでしょう。
しかし、この段階では、歯肉の中まで細菌は侵入していませんから、骨の破壊はみられません。
軽い歯肉炎なら、ていねいなブラッシングでプラークを取り除くことは十分可能です。
おかしいと思ったら、多少出血しても、まずはていねいなブラッシングをしてみましょう。
早めに歯科を受診し、プラークや歯石を取ってもらうのが一番のおすすめです。
プラークがたまると歯肉炎から歯周炎に
しかし、何の対処もせずそのままにしておくと、プラークは増殖し歯石ができます。
プラークは歯のまわりについている白くてやわらかい汚れですが、歯石はリン酸カルシウムの結晶で固い付着物です。
歯石になると、自分で取り除くことはむずかしく、歯科医院で機械で除去してもらわねばなりません。
また、歯石がたまると歯周ポケットはますます深くなり、酸素が少なくなって、歯周炎の原因菌、酸素を嫌うグラム陰性菌が増殖します。
歯周ポケットが4mm以上の深さになると、これはもう、歯周炎へと進んだ状態です。
歯周炎の初期は、歯肉全体が赤くなり、歯磨きのときにいつも出血するようになります。
朝起きたときの口臭だけでなく、ロの中のネバネバ感が強くなります。
歯が浮いたような感じがして、歯肉がムズムズすることもみられます。
中期になると、はれた歯肉からうみ膿が出てきたり、出血も頻繁に起こります。
歯肉が下がって歯が長くなったような感じがしたり、歯がグラグラしだすのも、このころからでしょう。
口臭も気になりだします。
さすがにこの段階を迎えると、たいていの人が歯科を受診するでしょう。
しかし、それでもなお放置して重度の歯周炎になると、いつも歯肉からは膿が出て、ひどい口臭がし、歯はぐらぐら状態になってしまいます。
やがて、歯を支えられなくなって、歯が抜けやすくなってしまうのです。
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