歯周病は、妊娠に影響がある
数年前、アメリカで発表された次のような報告に、妊婦さんたちはさぞ驚き心配したことと思います。
それは、妊娠している女性が歯周病にかかっていると、早産になったり、赤ちゃんが低出生体重児となる確率が7倍も高くなる、というものでした。
早産とは、妊娠23〜36週での出産をいいます。
37週以降のお産であれば、ほぼ成熟した赤ちゃんが生まれますが、それ以前の出産、それも週数が少なければ少ないほど、赤ちゃんはまだ小さく、おなかの外に出ても自力で生きていく可能性は低くなります。
最近は数百gで生まれた赤ちゃんも、NICU(新生児集中治療室)などの設備が整った病院であれば、育つことができるようになってきてはいますが、それでも早産は避けたいトラブルです。
また、低出生体重児というのは、生まれたときの体重が2500g未満で、正常範囲より少ない体重で生まれた赤ちゃんのことをいいます。
これまでも、タバコを吸っている妊婦さんから生まれる赤ちゃんは低出生体重児となりやすいと指摘されていましたが、歯周病も妊婦さんにとって、新たな危険因子となったのです。
歯周病菌の妊娠に与える影響については、次のように考えられています。
歯周病が長引いたり拡大すると、免疫機能が活発に働きだし、細菌とたたかうために、サイトカインのようなさまざまな生理活性物質を作りだします。
そのひとつに、プロスタグランディンという物質があるのですが、実はこの物質は子宮を収縮させる働きがあるのです。
つまり、歯周病の原因菌そのものが悪さをするのではなく、菌とたたかうために作りだされた物質が悪影響を引きだしてしまうわけです。
プロスタグランディンという物質は、お産が始まってもなかなか陣痛がつかない場合に用いる陣痛促進剤として使われているほどですから、その作用たるや、推して知るべし、です。
プロスタグランディンに刺激され子宮が収縮し、予定日までにはずいぶん間があるのに陣痛がついてしまうと、早産になってしまいます。
また、本格的な陣痛につながらないまでも、いつも子宮が収縮を繰り返していると、赤ちゃんに届く酸素や栄養が不足してしまいます。
胎内にいる赤ちゃんにとって必要な栄養や酸素は、母体から胎盤を通して届けてもらうしかないのです。
ところが、その子宮が収縮を繰り返していると、赤ちゃんは栄養や酸素不足で、発育が妨げられます。
結果、週数は問題なく予定日近くで生まれても、低出生体重児になってしまうのです。
妊娠するとホルモンの関係で歯周病になりやすくなるため、歯周病を患う妊婦さんは少なくありません。
症状がみられたら、産婦人科の主治医に相談のうえ、できるだけ早く治療を受けましょう。
炎症を長引かせてプロスタグランディンを作りださせる前に、早めに治しておくことが大切です。
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