女性ホルモンを栄養素とする歯周病菌
男性に比べて女性のほうが口腔ケアに敏感で、歯磨きも毎食後ていねいにしているという人が多いでしょう。
しかし、歯周病になるのは、女性のほうが圧倒的に多いのです。
これは、歯周病菌と女性ホルモンの間に密接な関係があるためです。
ここで、女性の月経周期について簡単に説明をしておきましょう。
月経は、初潮を迎えてから閉経にいたるまで、ほぼ25〜28日周期という一定のリズムで繰り返されていきます。
月経周期のうち、排卵までの時期はエストロゲン(卵胞ホルモン)が豊富に分泌され、卵胞が成熟し子宮内膜も増殖していきます。
卵胞が卵巣から飛び出し排卵すると、今度はプロゲステロン(黄体ホルモン)が活発に分泌されるようになり、子宮内膜をさらに柔らかくしていきます。
しかし受精が成立しないと、排卵後2週間ぐらいでプロゲステロンもエストロゲンも分泌が減り、子宮内膜がはがれ月経を迎えるわけです。
このふたつの女性ホルモンのうち、歯周病との関係で、とくに影響を与えるのは、プロゲステロンです。
プロゲステロンが増加すると、歯肉の毛細血管が拡張しやすくなります。
また、歯周病菌に限らず口腔内の菌の増殖も助け、プロゲステロンの分泌がもっとも多い時期になると、体調が落ちて口内炎や口唇ヘルペスになる人もいます。
また、プロゲステロンは、生理活性物質(サイトカイン)の一種、プロスタグランディンを作りだすよう刺激し、その結果、炎症が悪化して歯周病が進行したり、骨にも作用し、歯を支えている歯槽骨をやせさせる場合も生じます。
実際、月経時の歯肉の血管には、プロスタグランディンが高濃度に含まれているという報告もあります。
さらにやっかいなのは、ふたつの女性ホルモンを栄養源とする歯周病菌がいることです。
そのため、女性ホルモン分泌が増加する時期になると、歯周病が悪化するという人はけっこういます。
とくに、月経前症候群(PMS)の人は、月経前になると歯周病の症状が出やすいようです。
月経前症候群とは、月経予定日の10日前ごろから、イライラや怒りっぽくなったり、下腹痛や腰痛、便秘などに悩まされることをいいます。
口の中にも症状があらわれ、歯肉が赤くはれ、出血しやすくなったり、知覚過敏を訴える人もいます。
PMSによるものなら、月経が始まれば症状は軽くなるはずですが、毎月悩まされるのも困ります。
PMSの人は、婦人科の治療で歯周病の症状が軽減されることもありますから、婦人科と歯科と並行して治療を受けるほうがいいでしょう。
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