タバコを吸う人は、歯周病になりやすい
タバコの悪影響でまずあげられるのは、やはりがんでしょう。
日本では、がんの原因の30%が喫煙によるといわれています。
がんのほかにも、喫煙により気管支炎や心筋梗塞など呼吸器系や循環器系の病気を起こしやすくなります。
受動喫煙の害も明らかになってきており、非喫煙者の女性の場合、肺がんの約3分の1は夫の喫煙によるものという報告もあります。
子どもへの影響も見過ごせません。
母親が妊娠中にたばこを吸っていると胎児の発育が阻害されることは以前からいわれていましたが、
妊婦さん自身は吸わなくても受動喫煙でも影響を受け、やはり低出生体重児となりやすくなることがわかっています。
さらに、歯周病も喫煙の影響が大きい病気としてあげられます。
実際にアメリカでは、重度の歯周病の患者になるほど喫煙者が多くなることや、ヘビースモーカー(1年に喫煙数400本以上)の約80%が、中〜重度の歯周病にかかっているという報告も聞かれます。
喫煙が歯周病の危険因子となるのは、次のような理由からです。
タバコに含まれているニコチンや煙の成分の一酸化炭素には、血管を収縮させ、血液の流れを悪化させる作用があります。
歯肉にはたくさんの血管があり、血流が悪化すると、十分な酸素や栄養が届かなくなってしまいます。
すると、酸素不足で組織細胞の活性が悪くなり、歯肉周囲の細菌を殺す白血球の免疫機能を低下させます。
しかも、栄養不足で口の中の抵抗力は落ちているため、グラム陰性菌をやっつけることもできません。
その結果、歯周病が発症したり、病状を進ませてしまうことになるのです。
タバコは全身の免疫機能も低下させますから、菌とたたかう力は、ますますそがれていくのです。
喫煙は、歯肉を回復するのに必要な細胞の働きも抑制するため、治りが悪くなりますし、唾液の分泌も抑えられるので、殺菌作用や口腔内を洗浄する唾液が十分に働くことができず、菌が増殖し、病状を悪化させることになります。
そのほかにも、タールが歯に付着し、プラークをつきやすくするなど、喫煙は、歯周病にとどまらず、口の中全体の環境を悪化させる要因なのです。
喫煙がやっかいなのは、歯周病にかかっていても、症状が出にくいことです。
ニコチンの作用で血行が悪くなっているため、歯肉から出血しにくい傾向がみられますし、免疫機能が低下していて、歯茎のはれなど炎症の「サイン」がきちんと起きないことも心配です。
炎症が起きるのは、免疫機能がきちんと働いている証拠で、拡大したり、長期間でなければあまり心配ありません。
むしろ、炎症が起きないまま、いつの間にか症状が進んでいるほうが心配なのです。
最近では、歯周病の治療で通院する人に、禁煙を呼びかける歯科医が増えてきています。
治療をきっかけに、ぜひ禁煙にトライしてほしいものですが、少なくとも、タバコを吸っている人は、喫煙のリスクをよく理解して、こまめに定期健診を受けてください。
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