よく噛んで唾液を分泌
歯周病は、生活習慣を見直すことで、予防・改善できる点が多々あります。
これまでは直接的なデンタルケアを紹介してきましたが、次に間接的なケアを提案します。
毎日の暮らしのなかに取り入れれば、歯周病の予防につながることばかり。ぜひ、続けてみてください。
まず最初は、よくかんで食べること。
よくかむことの効果は、多岐にわたります。
たとえば、よくかむことは脳の血液量を増やし、脳の働きを活性化させ、とくに記憶力が高まります。
逆に、よくかまないでいると、脳の老化が早まるといわれています。
これは、やわらかい食べ物が増えてきた最近の若い人の食生活への警告として、よく耳にする話でしょう。
当然、よくかむことは老化防止に役立ちます。
骨粗しょう症予防にもなるという報告もあります。
高齢者への調査で、よくかむグループとかめないグループとに分け骨量を調べたところ、前者のほうが後者に比べ、明らかに骨量が多いことがわかりました。
その結果、かむことは骨量を保つのに役立つと考えられています。
骨粗しょう症は、女性ホルモンが急に減りだす閉経以降の女性に多い病気ですが、歯周病とも無縁ではありません。
骨粗しょう症になると、歯を支えている歯槽骨がやせてきて、歯はグラグラになり、やがて抜けてしまいます。
よくかんで食べることは、骨粗しょう症予防に、ひいては歯周病の予防にも結びつくのです。
よくかむことは、肥満防止やダイエットにも、効果絶大です。
食事の際、何回もかんでいると、血糖が上昇してきて脳の満腹中枢を刺激します。
その結果、少ない量でおなががいっぱいになったと感じ、食べ過ぎを防ぐことになります。
肥満は、歯周病のリスク因子です。
よくかんで食べ肥満予防に努めることは、歯周病予防にもつながります。
もちろん、かむことは顔の筋肉を鍛えるので、歯と歯周組織を支える力を補強してくれます。
さらに、美容や全身の筋力アップにもよいという指摘もあります。
よくかむことは、顔の表情筋や岨噛筋を鍛え、引き締まった美しい表情を作ります。
また、顔の筋肉は全身の筋肉とも関係しており、たとえば、姿勢が悪い人は、かむ力も弱いといわれています。
よくかむことは全身の筋力を高め、健康維持にもつながるわけです。
しかし、何といっても、かむことで得られる最大の効用は、唾液の分泌を促すことでしょう。
唾液には、たくさんの役割があります。
第一に、食べ物の消化を助ける消化酵素が豊富に含まれていること。
そのため、かめばかむほど唾液が分泌されて、胃や腸での消化や吸収を助けることにつながります。
唾液には、さらに、細菌の感染から体を守るいろいろな物質が含まれています。
小さいころ、転んでけがをしたら、つばをつけておけば治るよ、と言われたことはありませんか?
これは、唾液の殺菌作用をあらわした言葉でしょう。
唾液には、免疫機能の主役である白血球のほか、リゾチームやラクトフェリンなどの物質も含まれています。
これらふたつの物質は、殺菌作用があることで知られており、とくにラクトフェリンは、歯周病の原因菌、グラム陰性菌のひとつを殺す働きがあるとみられています。
何より唾液には、口腔内の環境のバランスを保つという免疫力システム保持の役割があります。
そのうえ、歯周病の原因となる菌の繁殖を抑える作用があるのですから、歯周病予防に唾液の存在は重大です。
虫歯の原因歯を抑制する物質も含んでいますし、口臭を抑える働きも持っています。
その他、唾液には歯の表面の汚れを取り、歯を強化する働きもあります。
最近では、がんを抑える酵素も含んでおり、食べ物に含まれる発がん物質など有害物質を薄める働きがあるということもわかってきています。
一口30回をメドに
唾液の分泌を促すには、やはり、食事の際によくかむことが基本です。
かむ回数は、ひと口30回が目安といわれていますが、硬いものを食べるようにするだけで自然にかむ回数も増えるでしょう。
やわらかいものばかりでなく、かみごたえのある食品を意識してとるようにしたいものです。
また、ガムをかんで、唾液の分泌を促すことも効果があります。
ガムも、先に紹介したマスティックガムやキシリトールガムなどにすれば、それぞれ、歯周病や虫歯予防の効果がさらに期待できます。
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