歯を失う原因の半数以上が歯周病
歯を失う原因とは、一体なんでしょうか。
二大原因といわれるのは、虫歯と歯周病です。
患者さんや一般の方の中には、虫歯と歯周病を「歯の病気」とひとくくりにしてしまって、その根本的なちがいをはっきりと認識している人はまだまだ少ないようです。
まず第一に、虫歯と歯周病とは原因も症状も異なります。
虫歯の原因菌は、おもにミュータンス連鎖球菌といわれるものです。
虫歯菌は、歯に付着すると酸を出します。
これが歯の表面を溶かして虫歯を引き起こします。
しかし、菌や酸には、からだに有害となるような毒性はありません。
ただし、虫歯が進行して歯の神経を侵した場合は、神経の管を通って歯根の先まで菌が侵入することがあります。
一昔前はこの菌が全身にまわり、敗血症を起こして亡くなる人もいましたが、
現在は有力な抗生剤があるので、こうしたことは食い止めることができます。
一方、歯周病菌(歯周病原菌)は感染すると直接、歯肉から血管内に忍び込み、血液中で増殖し、血管や内臓に定着して毒素を撒き散らします。
歯周病菌は種類が多く、耐性も強いために、抗生剤でもって壊滅させることは容易ではありません。
30代ぐらいまでは歯を失ういちばんの原因は虫歯ですが、40代以降から歯周病による歯の喪失が急増しはじめます。
さらに50歳以上になると、歯を失う原因の半数以上を歯周病が占めるようになります。
歯科の領域では、虫歯については治療技術が進歩し、治療にお金がかかるなどの問題はあるにせよ、かなりの補修をおこなえるレベルまで向上しました。
また、ブリッジ、インプラントなどの補綴物も進歩、改善されてきました。
虫歯になってしまった人は、まず歯の現状と治療法をきちんと説明してくれる歯科医を選ぶこと。
そして、歯科医とじっくり相談して数ある治療法の中で最良のものを選び、根気強く治療していくしかありません。
そして、適切な歯磨き指導を受けて、進行を予防するための最大限の努力をはらうことです。
虫歯に関しては、予防の理論が完全に確立しています。
まず、1日3回、食後20分以内には徹底した歯磨きを励行して、口の中からできるだけ虫歯菌を駆逐すること。
さらに、定期的な歯科でのクリーニング、フッ素コートで歯垢の沈着を物理的に防ぐことです。
歯磨き教育や定期的な歯科検診をもっと徹底すれば、日本人の虫歯催患率を低く抑えることもさほど困難ではありません。
虫歯予防は、やるか、やらないかの世界なのです。
虫歯はデンタルケアをきっちりおこなえば、ちゃんと防ぐことができます。
一方、歯周病は、毎日しっかり歯磨きをしていた人でも発症する可能性がある病気です。
歯周病にかかると、歯肉が腫れ、歯を支える歯槽骨、歯根膜といった組織がスカスカになってしまいます。
虫歯のように問題箇所を削って詰め物をする方法もとれず、なくなったものを補完する方法がありません。
さらに、歯周病の害は歯周組織にとどまりません。
歯周病菌は歯肉から毛細血管に入り込むと、血液を介して全身に運ばれていき、心臓病や糖尿病、肺炎、免疫系疾患といった重い病気を巻き起こしていくのです。
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