免疫力低下で歯周病リスク上昇
私たちのからだは日々、つねに細菌やウイルスにさらされています。
それは外の世界にかぎらず、体内にも700種以上の細菌や微生物が寄生しています。
たとえば、お腹の健康をいうとき、腸内菌環境などといいますが、
大腸は善玉菌といわれる乳酸菌から、悪玉菌の大腸菌までありとあらゆる菌の巣窟となっています。
一般的には「善玉菌は正義の味方で、悪玉菌は悪者」と決めつけられがちですが、
悪玉菌も食べ物の分解などに関与しており、かならずしも絶対排除すべき対象ではありません。
ようはバランスが大切で、善玉菌も悪玉菌もほどほどのバランスを保ちながら、仲良く共生しているのが、理想的な状態です。
口の中も、腸内とよく似た環境です。
口腔内に常在する菌は300種ほどあります。
このうち7割ぐらいを善玉菌が占め、残り3割は歯周病菌や虫歯菌などの悪玉菌になります。
これらのバランスがとれている段階では、さほど悪さはしません。
しかし、歯磨きの不徹底や体調不良などで菌のバランスがくずれ、歯周病菌が付着・増殖したときに、トラブルの引き金がひかれます。
歯に付着した細菌や食べカスのかたまりをプラーク(歯垢)といいます。
1mgのプラークの中には、じつに1億以上の細菌が存在しているとされ、このプラークをそのまま放置していれば、さらに増えつづけて、「バイオフィルム」という集合体に変わっていきます。
たとえば、お風呂場やキッチンの排水溝など水まわりの掃除を怠ると、ヌルヌルとした汚れがつくことがありますが、あれも一種のバイオフィルムです。
バイオフィルムは、細菌のコロニー(集落)です。
歯周病菌など無数の細菌がたがいに勢力を競いながら増殖していき、限界まで増えるとたがいにシグナルを出しあい、それ以上増えないように調整していきます。
この頃には、バイオフィルムはまるで一つの要塞都市のようになっています。
多糖体の強固なオブラートで全体をすっぽりと包み、栄養や水分を引き込む供給ルートと、老廃物を排出する下水が整備され、この中で細菌たちはぬくぬくと安住しています。
こうなったら、もう日頃の歯磨きでは、太刀打ちできません。
このバイオフィルムが猛威をふるうのは、さらに口腔内が不潔になったり、体調変化で宿主である人間の免疫力が低下したとき。
優位に戦える状況になると、さらに陣地を拡大しようと増殖したり、毒素を放出しはじめます。
バイオフィルムからは毒素や菌が放出され、いよいよ体内に深く入ろうとすると、それに対抗して歯肉から血液成分が絡み出し、白血球が菌と戦います。
これが「歯肉炎」という炎症状態で、初期の歯周病の前段階です。
さらに、どんどん歯周病菌が増えて、白血球が応戦しきれなければ、歯肉の炎症が進み、深刻な歯周病へと深く足を踏み入れることになります。
つまり、歯周病は「プラークの蓄積」と「免疫力の低下」、2つの条件が重なったとき、発症する危険性がぐんと上昇するのです。
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